【「S&P500を15年以上積立投資するとマイナスになったことがない」は嘘?】なぜそういうふうに言われるようになったのか

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S&P500は、世界中の投資家に人気のあるインデックスの一つであり、特に長期投資の代表格として推奨されることが多いです。
その中でも、「S&P500に15年以上積立投資をすると、マイナスになったことがない」という話を聞いたことがある人も多いでしょう。
しかし、この話は本当に正しいのでしょうか?

この記事では、この主張の真偽を検証し、なぜこのような説が広まったのかを解説します。


「S&P500を15年以上積立投資するとマイナスになったことがない」は本当か?

結論から言うと、「S&P500を15年以上積立投資すると必ずプラスになる」という主張は必ずしも正しくはありません

確かに、米ドルベースで見た場合、長期的にS&P500のリターンはプラスであり、過去のデータでは15年以上の積立投資で損失を出した期間はほとんどありません。
しかし、日本の投資家にとって重要なのは、円換算でのリターンです。

実は、為替の影響を考慮すると、S&P500を15年以上積立投資しても、マイナスリターンとなるケースが存在します。

例えば、以下の期間に積立投資を行った場合、日本円換算ではマイナスリターンになったことが報告されています。

  • 1959年~1974年
  • 1963年~1978年
  • 1967年~1982年
  • 1972年~1987年
  • 1997年~2012年

また、20年以上の長期投資でも、1958年~1978年や1968年~1988年などの期間で、日本円換算ではマイナスリターンとなったケースがあることが確認されています。

したがって、S&P500への投資が必ず15年以上でプラスになるという保証はなく、特に円建てでの投資ではリスクが伴うことを認識する必要があります。


なぜ「S&P500は15年以上積立投資するとマイナスにならない」と言われるのか?

それでは、なぜ「S&P500を15年以上積立投資すると必ずプラスになる」といった話が広まったのでしょうか?

① 米ドルベースでは過去のデータが好調だった

米ドルベースでS&P500のリターンを見た場合、過去の15年間の投資リターンはほとんどのケースでプラスになっています。
そのため、米国市場を前提としたデータをもとに「S&P500は15年以上投資すれば必ず利益が出る」と語られることが多くなりました。

② 過去の実績が投資家に安心感を与える

長期的に見れば、S&P500は米国経済の成長とともに上昇を続けてきました。
そのため、「15年以上の投資なら安心」という考え方が根付いたのです。

③ 投資初心者への勧誘のために単純化された

「S&P500は15年以上積立すればマイナスにならない」という主張は、投資初心者を引きつけるためのマーケティングの一環として広まったとも考えられます。
複雑なリスクの説明を省き、長期投資のメリットを強調することで、投資を始めるハードルを下げる狙いがあったのかもしれません。

④ 日本円換算のリスクが考慮されていない

多くの情報源では、米ドルベースの成績のみを基にして「S&P500は15年以上積立すれば損しない」と説明していることが多いです。
しかし、日本の投資家にとって重要なのは、為替リスクを考慮した円換算のリターンです。この点が考慮されていないため、誤解が生じている可能性があります。


S&P500を長期投資する際に注意すべきポイント

S&P500への長期投資は、確かに強力な資産形成の手段ですが、以下の点に注意が必要です。

1. 為替リスクを考慮する

S&P500は米ドル建ての資産であり、日本の投資家が円で投資する場合、円高になると資産価値が目減りするリスクがあります。
例えば、1ドル150円のときに投資を始め、15年後に1ドル130円になっていた場合、株価は上がっていても為替の影響で利益が減少する可能性があります。

2. 一括投資よりも積立投資がリスク分散に有効

S&P500に投資する際は、一括で投資するよりも定期的に積立投資を行うほうがリスク分散になり、安定したリターンを狙いやすいです。

3. 過去のデータが未来を保証するわけではない

過去のデータではS&P500が長期的に成長を続けてきましたが、未来も同じように推移するとは限りません。
米国経済の成長鈍化や新興市場の台頭など、さまざまなリスクが存在することを理解しておく必要があります。


まとめ

「S&P500を15年以上積立投資するとマイナスになったことがない」という主張は、米ドルベースの過去データに基づいたものであり、必ずしも日本の投資家に当てはまるわけではありません。
実際には、円換算で見た場合、15年以上の長期投資でもマイナスリターンとなった時期があることが確認されています。

それでも、S&P500は長期的に見れば成長を続けており、適切なリスク管理を行いながら積立投資を続けることで、資産形成の有力な手段となる可能性が高いです。

S&P500への投資を検討している方は、為替リスクを考慮しつつ、無理のない範囲で長期的に積立を続けることをおすすめします。

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